ジェイテクト( http://www.jtekt.co.jp )は、動圧すべり案内面の技術「高速高精度動圧すべり案内面の開発」において、発明協会主催の平成23年度中部地方発明表彰で発明奨励賞を受賞した。
工作機械に使用される動圧すべり案内面は、高剛性、高減衰性の点で高精度加工に適しているが、潤滑油の動圧効果による移動体の浮き上がりが高速になるほど増加し、これが高速化の妨げとなっていた。また移動体の質量が大きい工作機械では、送り抵抗の増加も課題だったという。
今回受賞した技術は、低粘度潤滑油とすべり案内面の潤滑技術の最適化により過剰な動圧発生を抑制し、さらに独自の特殊形状のすべり面を持つ案内面を開発することで、課題であった移動体の浮き上がりや送り抵抗の抑制が可能となった。中・小型工作機械において従来に対して、移動体の浮き上がりを1/3に抑え、約4倍の速度での高速高精度送りを実現した。
また、移動体荷重が大きい大型工作機械には、送り抵抗をオイルリフト方式により低減する半浮上方式の案内面を開発した。すべり面の油潤滑静圧ポケットによる自重軽減をすることで静圧効果による高い姿勢拘束性が得られ、送り精度を高めるために耐焼付き性が高い静圧パッドを採用し、大型工作機械でも従来の約3倍の高速送りを実現した。
高速化による加工時間の短縮や生産性の向上、高精度化による位置決め精度の向上や安定した送り精度の実現、また、送り抵抗低減による省エネルギー、環境負荷低減など、工作機械の重要な構成要素部品として技術力、独創性、および市場貢献力が高く評価されたという。
同技術は今年5月には、日本トライボロジー学会の「2010年度日本トライボロジー学会技術賞」を、6月には愛知県発明協会の「平成23年度愛知発明賞」を受賞している。