ジェイテクトは、特殊環境用「EXSEV軸受」シリーズのクリーン環境用クリーンプロベアリングの性能を従来よりも大幅に向上させた「NEWクリーンプロベアリング」を開発した。従来比で発塵量を50%低減させ、軸受寿命を10倍以上に向上、半導体やフラットパネルディスプレイ(FPD)などの製品歩留りや品質の向上に貢献し、搭載装置のランニングコスト低減や稼働率向上に寄与する。
本年7月から徳島工場とグループ会社のダイベアで量産を開始、半導体メーカー、FPDメーカーなどに提案を進め、2020年に4億円/年の売上を目指す。
半導体やFPDの製造プロセスでは極めて高いクリーン性が求められることから、製造装置には、ベアリングなど部品からの発塵による不純物の混入や放出ガスによる影響を可能な限り低減することが求められている。
一般的なベアリングでは回転する際の摩擦や潤滑油の飛散による発塵、また、潤滑油の蒸発によるガスが発生する。このベアリングが回転する際の発塵や放出ガスを低減するには、潤滑油やグリースを使用せずに潤滑性や耐摩耗性を高める必要があり、ジェイテクトではベアリングにフッ素コーティングを施すことでこれを実現する「クリーンプロベアリング」を1998年に開発、商品化し、半導体をはじめとする先端デバイスの生産プロセスで適用されてきた。しかし、先端デバイスの進化に伴い、さらに高い生産性が求められていることから、より優れたクリーン性を有し、交換周期を延長できる長寿命ベアリングの開発が求められていた。
これに対し今回開発された「NEWクリーンプロベアリング」では、このフッ素コーティングによる潤滑膜を、より潤滑性、耐久性に優れたものに改良。
従来品に対し①回転中に発生する発塵量を50%低減したほか、②発塵量がクラス10(ISOクラス4)のレベルを超えるまでの時間を示す「発塵寿命」を10倍以上に向上(室温の場合)、③発生する放出ガス量が同等以下、 と性能を大幅に向上させている。
同社では開発品のこうした特徴を活かして、さらに低発塵、低放出ガスで、より長寿命のベアリングが求められる半導体やFPD、機能性フィルム製造分野のユーザーを中心に拡販を目指す考えだ。