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SEMICON Japan 2024

 

ジェイテクト、長寿命スラスト針状ころ軸受の開発を完了

 ジェイテクトは、自動車のトランスミッション用軸受として、従来よりも3.5倍もの長寿命化を実現した「長寿命スラスト針状ころ軸受」を開発した。量産はグループ会社の宇都宮機器で2020年に開始する予定で、国内外の自動車メーカー、変速機メーカーに提案し、144万個/年の販売を目指す。
長寿命スラスト針状ころ軸受長寿命スラスト針状ころ軸受

 ジェイテクトでは本開発品により、車両の一層の軽量化や燃費向上に貢献するとともに、既に量産中の製品の長寿命化にも対応していく。

 スラスト針状ころ軸受は、コンパクトで比較的高荷重かつ高回転に使用できることから、自動車のトランスミッションやコンプレッサー等に良く使われ、動力損失の低減に貢献しているが、スラスト針状ころ軸受は軸受部品の構成上、ころ軌道の内外周で周速差が発生し、「差動すべり」が発生するため、主にレース表面起点のはく離が発生しやすくなるという課題がある。

 これに対し開発品では、「レース表面起点のはく離」に対して、ショットピーニング工程(無数の粒子を衝突させることで金属材料を強くする技術)を追加、レース表面の高硬度化や残留圧縮応力を付与することで、はく離寿命を向上させている。

 一方、レースの強化で「レースはく離」に対する寿命が向上したことで、「ころはく離」が発生することが予想されるため、ころについても特殊熱処理による強化を実施。従来品比で3.5倍以上のはく離耐力向上を実現した。

 軸受の長寿命化により、従来レベルの寿命を維持したまま、よりコンパクトな設計が可能となったことで、車両の軽量化や燃費向上に貢献する。

 また、従来加工工程に長寿命処理の追加対応が可能なため、量産流動中である軸受のサイズを変えずに長寿命化に対応でき、さらに入力トルクが大きくなった場合でも、既存品のレベルアップによって対応できる。潤滑油の流れなどを変えずに対応が可能なことから、ユニット開発の変化点を減らせ、顧客のリスクを低減できる。