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SEMICON Japan 2024

 

光洋マグネティックベアリング、磁気軸受が下水処理場の曝気用ブロワに採用

 ジェイテクトのグループ会社である光洋マグネティックベアリングの磁気軸受が、下水処理場の曝気用ブロワ(送風機)に採用された。

 生活・生産によって生じた汚水は、下水処理場で汚れを分解する微生物の働きを利用して浄化されている。しかし微生物は空気がないと生きられないことから、汚水には絶えず空気を送り込む必要があり、空気を送り込む曝気用ブロワには一層の長時間連続運転が求められている。特に、多人口の国では大量の汚水をきれいにする必要があるため、さらなる高出力化も求められている。

 光洋マグネティックベアリングでは今回、これらの要求に対応可能な磁気軸受製品の下水処理場への納入を開始したもの。これにより、曝気用ブロワの連続運転時間延長と高出力化に貢献する。

 磁気軸受とは、電磁石の力を制御し、回転体を非接触で空中に支持する軸受で、従来の転がり軸受と比較して、以下のとおり特徴を有し、適用による効果を発現できる。

・摩擦ゼロによって、転がり軸受では対応困難な超高速回転(dn値(回転軸の直径× 回転数)360万)=高出力化に対応可能

・転がり軸受は回転をスムーズにし、摩擦損失を低減させるために潤滑油が必要だが、磁気軸受は非接触であるため潤滑油が不要。潤滑油を供給する装置が不要になり、機械を小型化できる

・転がり軸受は摩擦により摩耗するため定期的な交換が必要だが、磁気軸受は非接触=摩耗しないため定期交換が不要。また、潤滑油も長期使用により劣化するため交換が必要になるが、潤滑油も不要なため定期交換が不要。このメンテナンスフリー化によって連続運転時間の延長とランニングコスト削減が可能になるほか、軸受・油の廃棄がないため、環境にもやさしい

・磁気軸受はセンサーで回転体の位置を把握し、電子制御により回転体を中心に支持しているため、回転体の状態をリアルタイムで把握することが可能で、異常発生前の計画的なメンテナンスの実施が可能

 

ジェイテクト 磁気軸受 簡易概要図
磁気軸受 簡易概要図

 

 

ジェイテクト 転がり軸受支持イメージ(左)と磁気軸受支持イメージ(右)
転がり軸受による支持イメージ(左)と磁気軸受による支持イメージ(右)

 

 ジェイテクトグループでは、転がり軸受ではこれまで達成できなかった高速回転領域、低温・高温などの様々な特殊環境にも適応する磁気軸受システムを提供し、あらゆる産業に貢献していく考えだ。

 なお、今回の開発品を通じて、「安全な水とトイレを世界中に」というSDGsの目標(目標6)への貢献が可能となっている。