イグスは、導電性を備えた新しい耐摩耗性高機能ポリマー「イグリデュールAX500」を開発した。イグリデュールAX500は、イグリデュールA500をさらに進化させた材質として、250℃までの高温環境で使用できる。無潤滑・メンテナンスフリーで耐薬品性に優れ、FDAおよびEU10/2011に準拠しているため、食品・包装機械での使用に適している。
例えば、グミを袋に入れる作業には、高感度のメカニズムを備えた計量システムが使用されており、数千個の袋が一瞬の間に充填・包装され、その後様々な機構によってグミの入った袋が箱に入れられていく。このような機械の高速動作ではあらゆる部品に負荷がかかり、特に軸受が摩耗しやすくなる。
今回開発したイグリデュールAX500製すべり軸受は、軸受部のメンテナンスフリーと耐久性向上を実現。静電気散逸性を備えているため、袋同士がくっつかず、作業員が静電気ショックを受けることもない。機械の可動部にESD対策を講じていない場合、アーク放電が発生することがあるほか、小麦粉加工のように粉塵の多い環境では粉塵爆発を引き起こす可能性もあるが、開発材はESD対策が施されているため、こうした事故を防止できる。
イグリデュールAX500はまた、高温環境に対応しており、オーブンやボトル洗浄などの用途に使用できる。耐薬品性に優れているため、強力な洗浄剤によってダメージを受けることもない。FDAおよび欧州委員会規則(EU) No. 10/2011 に準拠しているため、食品接触の環境にも適している。また、トライボロジー的に最適化されたポリマーに固体潤滑剤が埋め込まれているため、潤滑剤が要らない。
イグリデュールAX500 製すべり軸受は食品分野で多用されるステンレス製軸受とは異なり、無潤滑・メンテナンスフリーに加え、コスト削減に貢献し、かつ軽量化が図れる。
イグリデュールAX500は、食品と接触する用途向けのイグリデュールA500に比べ、はるかに優れた耐摩耗性を持つ。ドイツ・ケルンにあるイグスの社内試験施設で、イグリデュールA500製すべり軸受とイグリデュールAX500製すべり軸受について、ステンレス軸上で摩耗試験を行ったところ、イグリデュールAX500はイグリデュールA500に比べて摩耗量が最大1/3という結果が得られた。