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SEAJ、半導体製造装置の需要予測を公表、2026年度に5兆円超えへ

 日本半導体製造装置協会(SEAJ、会長:河合利樹・東京エレクトロン社長)は7月3日、2025年~2027年度の半導体・フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の需要予測を発表した。半導体製造装置について、2025年度の日本製装置販売高は、ロジック・ファウンドリー投資に一部で減速感が見られるものの、台湾ファウンドリー向け2nm (GAA)投資の本格化、HBMを中心としたDRAM投資の底堅さにより前年度比2%増の4兆8634億円と予測した。2026年度は台湾以外の地域でも2nm投資が開始され、DRAM投資も引続き伸びが期待されることから、10%増の5兆3498億円とした。2027年度もAI 関連の需要は高水準で続くため、3%増の5 兆5,103 億円と予測した。2024年度に4兆円超えを達成したが、早くも2026年度で5兆円超えを見通している。

需要予測の背景となる半導体産業の見通し

 WSTS(世界半導体市場統計)によれば、2024年の世界半導体市場は、前年比19.7%増の6305億ドルとなった。AIサーバー向けGPU市場の拡大や、2023年に下落していたメモリー価格が2024年秋にかけて大きく回復したことにより、2022年の過去最高値5741億ドルを更新した。6月に発表された市場予測では、2025年全体で11.2%増加の7009億ドル、2026年も引き続き8.5%の増加が予想されており、3年連続で最高値を更新する見込みである。

 メモリー各社の業績は、2023年Q1 (1~3月)のボトムから2024年秋頃まで連続して上昇を続けたが、その後の単価下落やHBM事業の構成比率の違いによって、業績には若干のばらつきが見られるようになった。2025年春からはDRAM、NANDフラッシュともに単価が上昇基調に転じているが、米国の関税政策に対する前倒し発注の影響もあり引き続き注視が必要である。

 台湾の先端ファウンドリーでは、いよいよ2nmの本格量産が開始され、2026年からフラッグシップのスマートフォンへの搭載が始まる見込みである。AIサーバー向けGPUとHBM の需要も旺盛であり、データセンターの消費電力抑制と演算能力の両立を図るためにも、次世代品への移行が必須となっている。現在、特定企業に需要が集中するGPUも、参入企業の増加により、選択肢が広がると予想する。

 米国関税動向の不確実性もあり、車載・パワー半導体の需要には慎重な見方が多い。この分野の本格的な回復は2026年以降となる可能性がある。

 2025 年度の半導体製造装置市場については、台湾の2nm投資、韓国のDRAM・HBM投資が増えるため、全体としては高い水準が維持される。また、2024年度に比べて中国の比重は相対的に低下すると思われる。

 2026年度は台湾以外の企業でも2nmのロジック投資が増加し、後半には日本でも2nmの量産に向けた投資が期待される。メモリーではAIサーバー向けに、好調なHBM に加えて、NANDフラッシュでも300層以上の世代や、高速化の要求を満たすためのWafer貼り合わせの投資が増える見込みである。

 2027年度にはAIサーバーの需要に加えて、スマホ・PCの分野でもオンデバイス(エッジ)AI搭載製品が世界市場の半数近くを占めると見られる。AI向け半導体の需要拡大と、高性能化や低消費電力化、大容量化に向けて、GAA構造の更なる進化、BSPDN (Back Side Power Delivery Network)の採用、高積層メモリー、などの技術進化に伴う先端投資が期待できる。

 世界半導体市場は2024年の6305億ドルから2030年には1兆ドルに到達すると予想されており、半導体製造装置も同様、中期的に高い成長が見込まれる。

 

日本製半導体製造装置の販売高予測

 ロジック・ファウンドリー投資に一部で減速感がみられるものの、台湾ファウンドリー向け2nm投資の本格化、HBM を中心としたDRAM投資の底堅さにより前年度比2%増の4兆8634億円を予測した。前年比の伸び率としては、2024年度が(2025年1月時の)予想値「20%増」に対して、実績が「29%増」にまで上振れて着地した影響もあり、2025年度としては横ばいから微増を予想している。

 2026年度は台湾以外の地域でも2nm投資が開始され、DRAM・HBM投資も引続き伸びが期待され、AIサーバー向けのNANDフラッシュ投資も加わることから、10%増の5兆3498億円とした。2027年度もAI関連の需要は高水準で続くため、3%増の5兆5103億円と予測した。

 

日本市場における半導体製造装置の販売高予測

 2025年度は車載とパワー半導体が落ち込むが、NANDフラッシュとDRAMで先端技術を使った投資が行われることから、15.0%増の1兆4399億円と予想した。2026年度もメモリー投資は堅調が予想され、大手ファウンドリーの第2期投資やCMOSイメージセンサー投資、後半には2nmの量産に向けた先端投資も開始されることを期待し、22%増の1兆7567億円と予測した。2027年度も高い水準で投資が継続されるため、5%増の1兆8446億円を予測した。
 

SEAJ需要予測 2025~2027年度 bmt ベアリング&モーション・テック