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第9回ものづくりワールド名古屋

 

NTN、後輪用ステアリング機能付ハブベアリングを開発

 NTNは、前輪用ハブベアリングに転舵角度を調整する機構を組み合わせたステアリング補助機能付ハブベアリング「sHUB」を、後輪用に改良した「Ra-sHUB(ラスハブ)」を開発した。2025年度に15億円/年の販売を目指す。

NTN Ra-sHUB
Ra-sHUB

 

 ステアリング補助機能付ハブベアリング「sHUB」は、世界トップシェアを誇る同社のハブベアリングの設計、製造技術とモータなどの制御技術を組み合わせ、左右各輪の転舵角度の個別補正が可能なモジュール商品。同社では2018年の開発発表後、車両の応答性の向上や燃費改善に貢献する商品として市場に提案を進めてきたが、今回この技術を応用し、大きな転舵角度を持ち、あらゆる懸架装置に対応できる後輪転舵システムとして開発したもの。

 現在、市場にある後輪転舵システムは、適用することで、ホイールベースが長い大型車両においても最小回転半径を小さくするとともに、走行安定性を高め、安全な走行を可能にする。しかし、これらの既存の後輪操舵システムは大型の上、高級車に採用されるマルチリンク方式など一部の懸架装置のみに適用が限定されているほか、構造上大きな転舵角をとることが困難とされている。

 今回開発されたRa-sHUBは小型で、後輪の懸架装置の種類を選ばず、従来のハブベアリングと同様に様々な車両への搭載が可能。トーションビームなどのリンク機構がない懸架装置で後輪転舵するためには、大掛かりな車両の設計変更が必要だったが、Ra-sHUBは比較的容易に搭載でき、あらゆる懸架装置の車両において後輪転舵を実現する。

 開発品の特徴は、以下のとおり。

・後輪の角度を左右独立して制御

・あらゆる懸架装置に搭載可能

・コンパクトな構造

・高剛性、高応答性

・大きな転舵角(±10°)

 Ra-sHUBは、これらの特徴を生かし、車両の情報をもとにタイヤの転舵角度を左右別々に制御することで、車両のコーナリング性能や高速直進時の安定性の向上に貢献。また、タイヤの走行抵抗を抑えることで、燃費改善にも貢献する。

 今後、自動運転技術の開発や普及が進めば、車両運動制御はさらなる高精度化が必要とされるほか、より高い安全性を求めて後輪転舵へのニーズや後輪転舵角度の拡大が見込まれる。

 同社は、本開発品を、危険回避時の安全な走行や、通常走行時の乗り心地の改善に寄与する商品として、各自動車メーカへ提案を進め、自動車の安全性や運転の楽しさの向上に貢献していく。

NTN Ra-sHUB 車両搭載イメージ
車両搭載イメージ