「モーション・エンジニアリング展」、「モータ技術展」、「EMC・ノイズ対策技術展」、「熱設計・対策技術展」などからなる「TECHNO-FRONTIER 2022」(主催:日本能率協会)が7月20日~22日、東京都江東区の東京ビックサイトで開催された。ベアリング&モーション技術関連では、以下のような展示がなされた。
コスモ石油ルブリカンツは、シリコーンフリーで高い熱伝導性を有する放熱材料「TIM」のラインナップを紹介した。放熱グリース「コスモサーマルグリースSFシリーズ」は、①シートよりも塗布面への追従性に優れる、②相手材との密着性が高く効果的な熱伝導性を発揮、③ディスペンサーでの塗布が可能で塗布工程を自動化できる、④適切な塗布量を選択でき放熱材量のロスを低減で、⑤数10μmまで薄く広げられ熱抵抗を低減、反発力が小さく部品へのストレスを低減、シリコーンフリーで低分子シロキサンによる電気接点障害の心配がない、などの特徴を持つ。また、一液硬化タイプの放熱ギャップフィラー「コスモサーマルギャップフィラーCGS3501」は、ペースト状で塗布できるため追従性に優れ、80℃の熱で30分間熱して硬化させるため、作業時間短縮が可能。二液室温硬化タイプの放熱ギャップフィラー「コスモサーマルギャップフィラーCGT3001」は、二液を混合後に硬化させるため、熱に弱い部分への塗布も可能。いずれも塗布後に硬化するためポンプアウトの心配がないほか、自動塗布が可能で作業時間を大幅に短縮できる。
THKは、ロボットの関節機構に適したモジュール型のアクチュエータとして開発した、回転モジュール「RMR」を紹介した。①減速機、モータ、エンコーダ、ブレーキなどの要素をモジュールとして一体化にすることで、一から部品選定/設計/組立をする必要がなくなり、その分の工数を削減できる、②剛性に優れた同社製のクロスローラーリングを回転機構の主軸受とすることで、大きなモーメントを負荷できる、③中空構造により配線ケーブルやチューブ等の取り回し性が高く、構造の簡略化/省配線化に優れている、④ドライバ別置き:制御ドライバはRMRとは別置きにし、本体全長をよりコンパクトに設計。また、RMR本体と制御ドライバをそれぞれ独立させることで配置の自由度が向上、などの特徴を持つ。ラインナップは#10 #30 #50 #70の4種類で、FA自動化工程に加え、物流業界や三品業界(食品/医薬品/化粧品)での活用ニーズも見込まれるほか、あらゆる市場の自動化ニーズに貢献する。
ナノコート・ティーエスは、電磁波シールドPVDコーティング「PROCEM(プロセム)」の成膜サンプルとパネルを展示した。電子化が進む自動車では、車載電子機器・センサー類の増加の伴うノイズ発生源の多様化と軽量化を目的とした電子機器・センサー類の樹脂製筐体の採用が進んでおり、樹脂製筐体への電磁波シールド性の付与が課題となっている。これに対しHEFで開発したPROCEM コーティングは樹脂製筐体に直接成膜でき、自動車電装機器で要求される電磁波シールド仕様(ノイズ減衰性能)をクリアしてEMC 問題を解決できる上、薄膜のため成膜前後の筐体の寸法変化や重量変化がなく、マスキングが必要な部分の仕上がり具合などの問題を同時に解決できる。PROCEM被膜は、高導電率の金属被膜を耐食性に優れた被膜でサンドイッチした多層膜となっており、用途に応じて銀・銅・アルミの3 種類の導電性金属が選択できる。また、PROCEM被膜の上に、保護膜として耐摩耗性に優れるDLC被膜を成膜することも可能となっている。
ハイウィンは、世界的に納期が長期化している、自動化・省人化ニーズに欠かせない「ACサーボモーター」の短納期対応が可能なことをアピール。定格出力50~2000Wのラインアップがあり、高速回転を同期制御できる同社製ドライバーも合わせて動作ユニットをオールインワンで構築できる「トータルソリューションシリーズ」として提供できる。また、レトロフィットや高精度割出し台に適した「ロータリーテーブル」を紹介。自社製トルクモーター搭載でゼロバックラッシュ・ダイレクトドライブ方式のロータリーテーブルは、滑らかでレスポンシブな回転を実現できる。仕上がり品質、歩留まり向上など様々な場面での優位性を高め、工作機械の差別化をサポートする。さらに、厚さ22mmと業界最薄クラスのDDモーター「DMTシリーズ」も出展。圧倒的な大中空径と優れた位置決め精度で機械設計の自由度アップに寄与するほか、同社のリニアモーターと組み合わせることで比較的容易に全高250mm程度の高精度位置決めXYθステージを組むことができる。自動化機器、省人化機器、搬送機器の省スペース化や低重心化による装置剛性向上にも寄与する。
フェローテックマテリアルテクノロジーズは、熱対策部品「サーモモジュール(ペルチェ素子)」とその応用製品として温冷調整が可能なジャケットなどを紹介した。サーモモジュールは、ペルチェ素子、または熱電素子とも呼ばれる半導体の電子部品で、コンパクトなヒートポンプ部品として機能する。直流電流を流すと、サーモモジュールの片側からもう片側へと熱が移動。それにより、サーモモジュールの片方の面が冷却されると、同時に反対の面は加熱される。また、直流電源の極性を入れ替えると、この現象が逆転し、逆方向に熱の移動を行うため、同じ面で冷却・加熱のいずれの目的にも使用できる。その機能によりセンサー・制御器と合わせて使用することで精密な温度調節も可能となる。サーモモジュールは場所や環境に応じて冷房・暖房を切り替えることができることから、肌着やジャケットに温度調節用途としての採用が進んでおり、今回はサーモモジュール応用製品として、温冷調整が可能なジャケットなどを展示した。