日本精工は、最新鋭設備導入により過酷使用条件に合わせたクラウニング加工が可能な新興国向け「建設機械 走行減速機用中国現調円すいころ軸受」を開発した。現地調達、現地生産を行うことによって、新興国において求められる、コスト競争力と高品質の両立、リードタイム短縮などの安定供給も可能にした。同品を新興国における建設機械市場への拡販を進め、2016年に年間売上20億円を目指す。
油圧ショベルなど建設機械の走行減速機用に使用される円すいころ軸受は、重荷重、衝撃荷重といった過酷な使用環境下で使用されている。中でも新興国において、多くの建設機械は長時間連続稼働、長距離の悪路走行など、より厳しい条件下で使用されている。さらに新興国では、軸受周辺の部品の精度が粗いことや作業者が軸受の取り扱いに慣れていないなど、新興国特有の課題も発生している。
このような中、同社では、現地の材料を採用し、新興国特有の使用環境に最適な製品仕様を設計し、さらに中国の工場に高精度加工が可能な最新鋭の生産設備を導入した。これにより、高品質な製品をにおいてコスト競争力を高めて、短納期で納入可能な現地生産を実現した。
同品は、新興国での過酷な使用環境下においても軸受寿命低下を防止するために、軸受の外輪、内輪軌道面およびころ転動面に最適なクラウニングを施し、エッジロードの発生を抑制した。また、取り付け精度が悪化した際の軸受の傾きも許容する丈夫な設計としている。さらに、最新鋭設備導入により、あらゆる条件にも対応できるクラウニング加工を実現した。
また、新興国の悪路走行時に走行減速機用軸受内輪の大つば部に大きな応力が発生するため、大つば部が割損し、走行不能となる恐れがある。このため、ころ端面形状の最適化を行い、大つば部に発生する応力を約10%低減した。