日本滑り軸受標準化協議会(PBSA)は6月6日、東京都千代田区のTKP 東京駅セントラルカンファレンスセンターで「2023年度 第1回総会(通算 第37回総会)」をハイブリッド形式(集合&ウェブ配信)により開催した。
当日は開会の挨拶に立った林 洋一郎 会長(オイレス工業)が、「今回も前回同様にハイブリッド方式の開催としたが、本会場でのリアル参加が15名、ウェブでの参加が9名となり、コロナ後としては最多の対面参加人数となった。本年のISO/TC123国際会議は10月18日~20日に日本での開催となり、会場は京都と、初めて東京以外での開催となる。海外の方には観光地として人気の京都ということもあり、多くの国からの参加表明が得られている。PBSAとしても可能な限りの支援を行っていく。本日は総会の終了後に本年度からISO/TC123の国際議長に就任した東京都市大学の三原雄司先生に「カーボンニュートラル社会の実現に向けた内燃機関の将来動向と産学連携研究」という内容で講演をいただく。コロナ以降の経済に関して、企業は多くの活動を環境対応に注力する必要があり、従来から環境対応の活動をしていた企業はそれ以上に、従来はそれほど環境対応の活動に積極的でなかった企業は新たに活動を進める必要がある。企業にとっては売上を伸ばせば消費エネルギーが増えるというジレンマがあり、このためにも我々は、最先端の大学の研究や他業種の取り組み状況の情報を入手し、何をすべきかを見極めていく必要がある。三原先生の講演はそのスタートになると考えてよいだろう。講演会終了後には、今回は会員間の情報交換がしやすくなるように立食方式の懇親会を設けた。活発な懇親の場になることを期待したい」と述べた。
総会ではまず、日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会の2023年度の活動計画について国内幹事の橋爪 剛氏(オイレス工業)が、省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託の1テーマである「環境配慮型の水潤滑用軸受材料に関する国際標準化」への取組み状況や、「テーマ名:軸受の廃棄・リサイクルの国際標準化(SC6)」と「テーマ名:水潤滑用の軸受材料の国際標準化(SC7)」という新規規格制定および改正提案の作業状況、本年10月に京都で開催されるISO/TC123国際会議などについて報告した。
続いてPBSAの2022年度の活動報告と2023年度の活動計画について、PBSAでは会計を務める橋爪氏より報告がなされ、2022年度の活動報告として、2022年6月と2023年3月の2回の総会と書面理事会が開催されたこと、国際会議が2022年11月にフランスでハイブリッド形式にて開催され旅費等をPBSA が支援したこと、第1回・第2回総会で計3件の講演会を設けたことが報告され、さらに2022年度会計報告がなされた。2023年度の活動計画としては、第2回総会を2024年3月に開催し理事会を必要に応じて開催する予定のほか、本年10月に京都で開催されるISO/TC123国際会議の支援や、日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会活動の支援、PBSAおよび同会員に寄与する講演会・研究・調査などの実施、標準化作業を円滑に進めるための会員が活用しやすいホームページの更新・整備、さらには新規規格開発のために参考となる他TC規格などの購入などの予定について報告された。
総会終了後には、「カーボンニュートラル社会の実現に向けた内燃機関の将来動向と産学連携研究」と題して東京都市大学 三原雄司教授による特別講演設けられ、2050年カーボンニュートラルに向けたエネルギー基本計画や、カーボンニュートラルを実現するために水素エンジンが果たす役割や東京都市大学での水素エンジンの開発事例や耐久性に関する課題、水素エンジンの国内外での研究開発事例やロードマップ、水素エンジンを含む内燃機関の産学連携研究の動向などについて、紹介がなされた。