日本工作機械工業会は1月9日、東京都港区のホテルニューオータニで新年賀詞交歓会を開催した。
会の冒頭、挨拶に立った稲葉善治会長(ファナック会長)は「日本工作機械工業会は、デジタル、グリーン、レジリエンスをキーワードとする取り組みを進め、世界の製造業の進化と発展に大きく寄与することできた。こうした中で日本の工作機械市場は一進一退をしながらも当業界としては比較的高い水準の受注を維持することができ、2024年の工作機械受注総額は1兆4700億円前後に着地したと見込まれる。2025年を展望すると、世界各地の地政学リスクの高まりや国際社会の分断により通商環境はさらに不安定かつ複雑化していくことが懸念される。しかし、このような状況でも世界の産業界において、DXを核とするイノベーションは止まらない。人材不足や人件費高騰に対しては自動化・高効率化で対応し、熟練技能者の減少を補うためには生産設備の知能化、AI機能の開発が考えられる。また、現代社会に求められるデジタル革新、環境性能の向上、生産拠点の多極化などが促進されるなど、近年の工作機械事業を牽引している背景に変化はないと考えられる。2025年の工作機械の需要は当面、底堅くも勢いを欠く展開が続くと思われるが年後半には明るさが増してくると期待している。以上の状況を総合的に判断し、2025年の工作機械受注総額は1兆6000億円と見通している」と述べた。
また、同工業会の2025年の活動については「前期から取り組んでいるデジタル、グリーン、レジリエンスに加えて工作機械産業ビジョン2030で示された内容を含めて各委員会の活動を展開していく。その一環として、日本流の産学官連携の体制をつくるための議論を進めていく。また、カーボンニュートラル実現に向けた省エネ活動、将来有望な需要産業動向の調査・研究などを推進し、会員各社に共通する協調領域の深化・拡大を引き続き進めていく。さらに、工作機械トップセミナーによる学生へのアプローチ、若い技術者などの育成プログラムの実施などにより少子高齢化時代に対応した人材確保を推進する」とした。