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ジェイテクト、2016年度~2020年度中期経営計画を発表

 ジェイテクトは5月31日、名古屋市中村区のキャッスルプラザホテルで、2016年度~2020年度までの中期経営計画の進捗状況を報告した。

安形哲夫社長安形哲夫社長 当日はまず、安形哲夫・同社社長が2016年3月期の業績について総括。売上高1兆3,999億円、営業利益819億円、経常利益812億円、当期利益486億円と、売上高と各段階利益すべてで過去最高を記録したことを報告した。営業利益の前年同期比+77億円増について、基板構築費用や固定費などの費用の増加を原価改善によって吸収したと分析。機械器具部品は、ステアリングが売上高6,783億円、ベアリングが同4,085億円、駆動が1,482億円と全事業で増収した。

 2017年3月期の通期業績予想では、北米は着実な回復を継続し、欧州は緩やかな回復基調を維持する一方で、中国での減速感の高まり、新興国の成長の鈍化、日本国内の回復ペースの低調さ、円高の進行といった事業環境を見通して、売上高1兆3,000億円、営業利益600億円、経常利益610億円、当期利益410億円の減収減益を見込む。

 次いで各事業について、2014年~2015年度の振り返り中期経営計画の進捗状況についての報告がなされた。

宮崎博之専務・軸受事業本部長宮崎博之専務・軸受事業本部長 軸受事業では、宮崎博之・軸受事業本部 本部長から、構造改革、生産、営業、技術開発の重点4課題への課題と、業種別・品種別戦略によって、量から質への転換による高収益の事業を目指すビジョンを達成するストーリーが示された。重点課題への対応として、構造改革の課題に対しては、国分工場を産機軸受の旗艦工場とし小ロット対応を進めることで産機軸受の拡販につなげる。亀山工場にハブユニットを移管、ハブユニットの競争力を向上し、四国工場に鍛造工程を移管し同工場でテーパローラ軸受の前工程からの一貫加工を進める。欧州ではニードルローラ軸受工場の再編を軸に収益基盤を強化する。中国ではボールベアリング工場をサイズ別に再編するとともに、ニードルローラ軸受の需要増に対応していく。生産力・生産技術力の課題に対しては、稼働率・生産性向上による競争力の向上、小ロット需要対応ラインの構築の一方で、完全自動化・無人化ラインの構築やIoE(ジェイテクト版インダストリー4.0)によるスマート工場化など生産革新を進める。営業課題に対しては、産機軸受で遅れていた重点顧客へのフロントローディング活動を実施するとともに、在庫品揃えの強化や魅力的なパッケージによるブランド力向上などで市販用軸受を強化していく。技術開発の課題に対しては、グローバル開発体制の強化や高付加価値商品の開発強化、トライボロジー・制御技術を活かした軸受の領域を拡大する商品開発を進める。

 業種別・品種別戦略の実現では、現状の軸受事業の売上高の比率、自動車7割、産機3割に対し、業種別取り組みの強化と重点アプリの高付加価値商品の開発・投入による産機向けの強化によって、バランスよく成長して利益額を増加させる。重点アプリ戦略では、鉄鋼、風力分野で状態監視、メンテナンスサービスによる顧客の安定操業に貢献していく。農機・建機分野では従来のロバスト性向上から省エネ・小型・軽量化へのニーズに対して、自動車用軸受で適用されている長寿命・低トルクの軸受(LF-Ⅳ軸受)などを展開していく。品種別戦略では、テーパローラ軸受、ハブ軸受、ニードルローラ軸受を主に売り上げを強化しつつ、ボールベアリングを加えた主要4品種への高付加価値商品の開発・投入で、利益を上積みしていく考えだ。

 そのほか、ステアリング事業では自動車用ステアリングの市場が拡大する中でグローバルシェア25%のトップシェアを維持する。シェア40%超のコラム式(C-EPS)を維持しつつ、デュアルピニオン式(DP-EPS)やラックパラレル式(RP-EPS)といった需要が急増する「下流EPS」のシェアを伸ばしていく。

 駆動事業では「ドライブラインシステムサプライヤー」としての飛躍を目指し、デフモジュールやディスコネクト、セーリング用クラッチ、次世代トルセンなど新商品開発企画を強化していく。

 工作機械事業では、バリューがつながる、工程・技術がつながる、商品力がつながる、の三つのつながる事業への転換で、ものづくりすべてのフェーズでバリューを提供する「真の総合生産システムインテグレータ」を目指す。既存の制御盤回路にアドオンすることで設備規模に合った制御システムに拡張できる「TOYOPUC-Plus」も活用し、人と設備が協調し、人の能力を最大限に発揮する「IoEスマートファクトリー」化を進める。

 さらに安形社長から、グローバルでの人材マネジメント、財務基盤の強化、間接部門の生産性向上といった「ファンダメンタルズの強化」が順調に進んでいるとの報告があり、グループビジョンの“No.1 & Only One”によって、人々の幸福と豊かな社会づくりに貢献する企業目的を実現するための基盤となる、「お客様視点」、「当事者意識」、「たゆまぬ改善」、「和して厳しく」、「技に夢を求めて」という五つの、同社グループ共通の価値観「JTEKT WAY」を制定したことを発表した。

 安形社長からはまた、環境負荷の極小化と環境価値の最大化を目的に「環境チャレンジ2050~未来の子供たちのために~」を制定したことが報告された。軸受で多用される浸炭焼入れに代わる、「革新熱処理技術」(材料技術を主とする)によるエネルギー低減といった工場のCO2極小化に向けた技術・研究開発や、低トルク技術による産業機械の損失低減に貢献する軸受製品の開発などによる、CO2極小化社会の実現への貢献などを打ち出した。