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SEMICON Japan 2024

 

イグス、デジタルプレスカンファレンスを開催、新提案商品などを紹介

 イグスは6月28日、ドイツ本社と日本をつないでの「デジタルプレスカンファレンス」を開催、販売および生産に関する状況報告やサスティナビリティへの取組みについて報告するとともに、168点に及ぶ2021年新提案商品の中のハイライト商品について紹介した。

 

イグスプレスカンファレンスのようす
デジタルプレスカンファレンスのようす

 

◆販売・生産の概況

 当日はまずフランク・ブラーゼCEOが挨拶に立ち、「コロナ禍の影響はあったものの、2020年の売上は4.7%減にとどめることができた。これはリモートでの販売の実績を積んだことや、世界各地で製品の在庫を増やし迅速に納入できるようにしたことなどが功を奏した。今年の売上は1~5月期で62%も伸びており、損失がカバーできている。こうした中、次のステップとして生産能力50%アップを目指して、24000m2の新工場の建設を進めている。2022年末までに完成予定だ。射出成形機は新たに330台を発注、すでに100台近くが稼働している。また、昨年末は在庫を増やし、急な需要にも対応を可能にしている。人事面の増強としてはドイツの工場で250人以上を雇用、さらに220人を雇用する計画がある。研修制度も改善していく」と述べた。

 

◆カーボンニュートラルと樹脂廃棄物ゼロ

 ブラーゼ氏はさらに、これまでの目標である「モーション・プラスチックによる可動部の改善」に加えて、「カーボンニュートラルと樹脂廃棄物ゼロ」を新たな目標に据えたことを報告。新しい目標達成のための取組みのうち、①使用済み製品のリサイクル、②職業訓練生への起業機会の付与、③CO2排出量の測定および監視という三つの試みを紹介した。①については、未分別のプラ廃棄物を約20分でオイルに還元し省資源化を実現する技術を持つMura Technology社への500万ユーロに及ぶ投資を継続している。②については、マイスター制度における職業訓練生が学ぶ最善の方法として、訓練生たちに経営の機会を与え、イグスから出たPCやモニター、キーボード、プロジェクター、コピー機といった電気・電子機器の廃棄物を整備しイグス社員とその家族にオンラインで販売するという事業を採択、同社から出る年間5tの電気・電子機器の廃棄をなくした。③については、2025年までに同社の建物内や生産活動での気候中立の達成を目標に、CO2を吸収する緑の植栽のファサード、屋上へのソーラーパネルやガーデンの設置などの取組みを進めている。

 

イグス フランク・ブラーゼCEO
フランク・ブラーゼCEO

 

◆2021年新提案商品のハイライト

 これまでで最多となる168点の新提案商品のうち、以下のようなハイライト商品が紹介された。

・耐摩耗性に非常に優れた、高強度巻線構造の高荷重用途向けすべり軸受
「イグリデュールTX2すべり軸受」は建設機械や農業機械などの高荷重用途向けの高荷重用途向けすべり軸受で、高強度の巻線構造により非常に高い負荷に対応できる。厳しい環境条件で稼働する建設機械、鉱山機械、農業機械の軸受部は、高温、低温、泥、粉塵などから影響を強く受けるが、今回発表したイグリデュールTX2すべり軸受は高荷重用途に特化して開発。特殊な高強度の繊維樹脂を巻き付けた巻線構造により、高負荷アプリケーションでの使用を可能にしている。本軸受は、硬質クロムめっき軸を使った揺動試験において、既存のヘビーデューティー向け「イグリデュールTX1すべり軸受」に比べて約3.5倍の耐摩耗性があることが示されている。また、他のイグリデュールすべり軸受と同様に、無潤滑・メンテナンスフリーで使用できるため、軸受部への汚れ付着を防ぎ、メンテナンスや修理コストが削減できるほか、潤滑不足による機械の故障も低減する。さらに、イグリデュールTX2すべり軸受は、温度、薬品、湿度、腐食、海水への耐性も優れているため、幅広い分野での使用が可能で水中および陸上での用途で長寿命を実現できる。

 

イグス イグリデュールTX2すべり軸受
イグリデュールTX2すべり軸受

 

・ロボットのワークスペース内のループ形成を防ぎ、省スペースで設置可能な伸縮自在のケーブル保護管
 「トライフレックスR TRX」は、産業用ロボットのケーブルを安全・簡単・コンパクトにガイドするためのケーブル保護管で、内部に独自の伸縮機構を備えており、従来のロボット用ケーブル収納機構や巻取りシステムに代わるもの。ロボットのシステム軽量化、コンパクト化の流れに対応するため、トライフレックスRをベースに巻取りシステムを統合。第3軸に直接かつコンパクトに固定できる、省スペースなエネルギー供給システムとなっている。独自の機構であるチェーンリンクとゴムバンドの採用によって、耐ねじれ性を備え、最大で40%の長さ補正が可能。内蔵されたゴムバンドによって、チェーンリンクが常にスタート地点に戻るように働き、引き込む力を調整している。従来の巻取りシステムと比較して最大83%軽量で、必要なスペースは半分以下のため、ロボットの性能が向上し、追加の巻取りシステムが不要になるため、大幅なコスト削減を実現する。また、既存のトライフレックスR TRE型と互換性があり、相互を簡単に接続することが可能で、ケーブルの収納も容易。

 

イグス トライフレックスR TRX
トライフレックスR TRX

 

◆日本国内での増強

 北川邦彦イグス社長は日本国内での拠点新設や生産増強に関して、「顧客への納入リードタイムを少しでも短くするために、これまでどおり拠点の新設および生産の増強は順次行っていく。建設中のドイツの新工場はまた、製品によらず、我々のキャパシティーを増強することにつながる」と述べた。

 

イグス 北川邦彦社長
北川邦彦社長