日本トライボロジー学会(JAST)は10月31日~11月1日、沖縄県名護市の万国津梁館で、「トライボロジー会議 2025 秋 名護」(実行委員長:九州大学・澤江義則氏)を開催した。会期中は約650名が参加した。
今回は、「機械要素」、「潤滑剤」、「分析・評価・試験方法」、「メンテナンス」、「摩耗」、「加工・製造技術」、「摩擦」、「表面・接触」、「表面処理・コーティング」、「バイオトライボロジー」、「流体潤滑」、「マイクロ・ナノメカニズム」、「疲労」、「境界潤滑」、「トライボケミストリー」、「摩擦材料」、「シミュレーション」のテーマによる一般講演と、「ヤングトライボロジストシンポジウム」、「カーボンニュートラルに挑む自動車のトライボロジー技術の最前線」、「電動車用潤滑油最前線―EV、HEV用潤滑油の現状と今後の展開―」、「工作機械におけるトライボロジー技術の応用」、「炭素系硬質薄膜の潤滑油中・真空中におけるトライボロジー特性」、「高分子材料のトライボロジー技術の最前線」、「5th Japan-Korea Tribology Symposium: Automotive Tribology」、「水素エネルギーとトライボロジー」、「転がり疲れ研究の最前線」、「シールにおけるトライボロジー技術」のテーマによるシンポジウムセッションで、全305件の発表がなされた。
また、31日には特別講演会が開催され、沖縄科学技術大学院大学(OIST)神経計算ユニット 教授の銅谷賢治氏が「楽しい大学のつくり方~OISTで拓く脳とAI研究~」と題して、また、沖縄美ら島財団総合研究所 琉球文化財研究室 室長の幸喜 淳氏が「首里城美術工芸品の現状とこれから~修理と人材育成~」と題して、それぞれ講演を行った。
同日に開催された「懇親会」では冒頭、沖縄の伝統芸能であるエイサーと獅子舞のパフォーマンスが行われた。
続いて挨拶に立った江上正樹JAST会長(NTN)は、「先日テレビで、沖縄から世界に向けて、三線、エイサー、獅子舞、棒術のパフォーマンスを発信する番組を観た。その際には遠い国の話のように感じていたが、いま舞台を見て、また本日の特別講演を聞いて、沖縄を非常に身近なものに感じている。これもひとえに、今回、名護でのトライボロジー会議の開催を実現させた実行委員各位の尽力、知恵と工夫の賜物で、これだけ多くの参加者を動員し、集まれる場を作ってもらったことに感謝したい。トライボロジー会議も明日一日を残すのみとなったが、新しく出会った方々や旧知の方と酒を酌み交わして、ぜひ明日の活発な議論につなげてほしい」と語った。
続いて、澤江義則 トライボロジー会議 2024 秋 名護 実行委員長は、「先週、沖縄に台風直撃の予報が出た時には実行委員長を引き受けたことを後悔したものだが、各位の尽力と支援のもと、300件を超える講演があり、650名近くが参加するなど、トライボロジー会議を無事に成功裡に開催することができて、非常に喜んでいる」と挨拶し、乾杯した。
懇親会ではそのほか、次回以降のJAST主催イベントの案内として、2024年5月26日~28日に東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催予定の「トライボロジー会議 2025 春 東京」と、2025年10月8日~10日に北海道函館市の函館アリーナで開催予定の「トライボロジー会議 2025 秋 函館」について、開催概要や見どころなどがそれぞれ紹介された。
会期中は「企業技術・製品展示コーナー」が設けられたほか、出展企業数社による製品PRやサービスについての企業プレゼンテーション(ランチョンセミナー)が実施された。