ジェイテクトは、センターピボット方式を採用する大規模農場の立形散水ポンプに使用される「アンギュラ玉軸受」を開発した。開発品は、潤滑油の汲み上げ性能を向上させ、軸受内部の潤滑状態を良好に保つことで早期損傷を防止し、ポンプの信頼性向上に貢献する。同社では国内外の散水ポンプメーカーに販売し、4億円/年の売上を目指す。
センターピボット方式を採用する大規模農場では、散水用地下水を汲み上げるためにポンプが使用される。その駆動部に使用される軸受は立軸で多列配置され、下部に配置された軸受だけが潤滑油に浸かった状態になる。上部の軸受には潤滑油が行き届いていないため、上部軸受が潤滑不足により損傷するケースがあった。
これに対しジェイテクトでは今回、保持器の形状を見直し、上部の軸受まで迅速に潤滑油を汲み上げ、潤滑状態を良好に保つことができる軸受を開発した。
開発品では、潤滑油の汲み上げ性能を最大限生かすための保持器形状(最適な保持器傾斜角と最適な潤滑油出口空間の確保)とし、潤滑油が流れやすい保持器ポケット形状(最適な玉と保持器のすきま設定)とすることで、立軸かつ油浴潤滑で使用されるアプリケーションへの横展開が可能になった。
開発品は上記の特徴によって、潤滑油の汲み上げ性能向上による潤滑状態の良好化や、潤滑状態の良好化によるポンプの信頼性の向上といった効果を発現できる。