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SEMICON Japan 2024

 

第4回[名古屋]機械要素技術展が開催、ベアリング&モーション技術が集結

 ベアリング、ねじ、ばねなどの機械要素や、金属、樹脂に関する加工技術を一堂に集めた専門技術展「第4回[名古屋]機械要素技術展(M-Tech名古屋)」が4月17日~19日に名古屋市港区のポートメッセなごやで開催された。

開催のようす開催のようす

 ベアリング&モーション技術関連では以下のような展示があった。

 イグスは、インダストリー4.0やIoTに対応し様々な情報をつないで稼働中のベアリングなどの状態を監視し、故障による装置の突発停止を回避できるシステム「スマート・プラスチック」を紹介した。センサー付きの樹脂ベアリングなどモーション・プラスチック機器とモニタリングシステムで構成。離れた場所で稼働する半導体製造ラインや自動車製造ラインなどで使われる、ベアリングの摩耗量や可動ケーブルの損傷具合などをセンサーで計測。長年にわたる評価試験で蓄積した各製品の寿命データと照合して、想定される修理や交換のタイミングを事前にユーザーに知らせ計画的なメンテナンスを実施することで、装置の突発的な停止を防げるほか、メンテナンス費用を低減できる。

イグス「スマート・プラスチック」イグス「スマート・プラスチック」

 ジェイテクトは、特殊環境用EXSEV(エクゼブ)軸受シリーズとして、300℃まで使用可能な「超高温用グリース封入軸受」を紹介した。半導体製造装置などの耐熱性が求められる設備において、長寿命化が実現、ユーザーのメンテナンスコスト低減などに貢献できる。従来のグリースでは200℃を超えると油分の蒸発が増え、増ちょう剤の熱分解が発生して使えなくなるため、高温環境下では固体潤滑剤を使用していた。しかし、固体潤滑剤は寿命が短くメンテナンス周期が短いという問題があった。これに対し開発品は、蒸発しにくい基油と熱分解に強い増ちょう剤を組み合わせたグリースを使用することで、300℃までの使用が可能となった。また、従来の固体潤滑剤と比較すると、寿命は6倍以上に伸びるなど、性能を大幅に向上、耐熱性が求められる設備において、メンテナンスコストの低減(メンテナンス周期の延長)と作業の効率化に貢献する。

ジェイテクト「超高温用グリース封入軸受」ジェイテクト「超高温用グリース封入軸受」

 大同メタル工業は、長年のエンジンベアリングの製造で培われた独自焼結技術によって生み出された、高性能アルミ吸音材「NDCカルム」を紹介した。アルミ粉末を多孔質に焼結した吸音材で、2~3mmの板厚で優れた吸音特性を実現するほか、一般の吸音材にはない耐水、耐食性、耐熱性を持つ。アルミ板より軽量で、しかも金属的強度を有するため機械加工も容易にでき、部品としての供給も可能。また、電磁シールド性も持つ。新幹線の防音壁から建築用内装材、プレスラインや天然ガス圧縮機など機械用の防音ボックスまで広範に利用されている。自動車分野への適用例としてはマフラー(サイレンサー)内側への装着やエンジンルーム内壁への装着、車外騒音規制に対応するためのエンジンアンダーカバーへの装着(路面側への装着で反射音を減衰)などが見込まれるという。
 大同メタル工業「NDCカルム」 大同メタル工業「NDCカルム」

 THKは、駆動と直動案内の一体構造と省スペース構造、部品点数減による組付工数削減を実現する、独自の「ボールねじ一体型ボールスプラインDSP」を紹介した。動作機構は、ボールスプラインナット部は固定し、ボールねじが回転することでボールスプラインロッドが移動する。具体的には、ボールねじ軸が奥に回転するとボールスプラインロッドが引っ込み、ボールねじ軸が手前に回転するとボールスプラインロッドが出る。DSPを用いてコンパクト構造や耐圧縮荷重に特化した構造、高負荷荷重、高剛性、高精度送りを実現するサーボプレス用電動アクチュエータ「プレスシリーズPC120」では瞬時最大推力250kN(25t)を実現、従来油圧プレスが用いられた領域を電動化できることなどをアピールした。

THK「ボールねじ一体型ボールスプラインDSP」THK「ボールねじ一体型ボールスプラインDSP」

 日本ピストンリングでは、長年培ってきた冶金技術と射出成形技術が融合した省資源・省エネルギー型のメタルフォーミング技術であり、自動車部品から精密機械部品まで、多様な複雑形状部品の一体成型を可能にする、高性能金属粉末射出成形(MIM)プロセス部品「METAMOLD®(メタモールド)」を紹介した。METAMOLD®は、①プラスチックスの射出成形法と同様の射出成形機、金型を使用して造形するため、ボールねじ循環部品など三次元形状を有する複雑形状部品の大量生産・低コスト化を実現、②材質の自由度が高く、難加工材の生産に適している、③一般的な焼結後の相対密度は95%以上で、引張強さ、伸び、耐衝撃性等の機械的特性は溶製材に近い値が得られる、④焼結後は10~20%と大きく収縮するにも関わらず、一般寸法精度は±0.5%と高い値が得られる、⑤様々な加工処理が可能、といった様々な特徴を持つ。このため、自動車部品から産業機械部品、OA機器部品、鍵部品、レジャー関連部品、楽器部品に至るまで、幅広い用途で低コスト・省資源の部品生産を可能にする。

日本ピストンリング「METAMOLD<sup>®</sup>(メタモールド)」日本ピストンリング「METAMOLD®(メタモールド)」

 日本ベアリングは、精密研削加工された軌道台とスタッドローラーを内蔵した樹脂製Rリテーナーで構成される独自製品「NBスライドウェイNV形」を展示した。これは、スタッドローラーによって軌道台と転動体のスリップがなく、高剛性、高負荷容量、超低振動を実現している。摩擦抵抗は極めて小さく、起動摩擦と動摩擦の差がほとんどないので微小送りにも正確に追随し、高精度の直線運動機構を実現するほか、軽負荷でも摩擦抵抗の変動が極めて小さいことから低速から高速まで安定した動作が可能。循環部における騒音の発生がなく、またケージを使用しているので転動体間の接触音もなく、静かに動作できる。このため近年特に、測定機関連での適用が拡大してきているという。

日本ベアリング「NBスライドウェイNV形」日本ベアリング「NBスライドウェイNV形」

 ハイウィンは、インテリジェントな単軸ロボット「abilyrobot」とインテリジェントモータ「abilymotor」を紹介した。Abilyrobotは1軸ロボットとカップリング、ACサーボモーター、ACサーボドライブをインテグレートした高集約型デザインでシステム構築を高効率化。20%サイズを削減しつつ、配線・モジュール数を最小限に低減。整定時間を40%削減しシステム生産性を向上するほか、インストール時間を75%削減する。AbilymotorはACサーボモーターとACサーボドライブをインテグレート。サーボモーターとドライバー間の距離を縮めることで電気的な非干渉特性を高めている。PDLにより簡単なプログラムで複雑な運動を制御できるほか、ユーザーがPDLの使用法を短時間で習得できるように広範囲な運動制御例を提供する。ともに、稼働中の振動を抑制するほか、EtherCATの効率的な通信方式による高速通信と高精度同期を実現。

ハイウィン「abilymotor & abilyrobot」ハイウィン「abilymotor & abilyrobot」