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SEMICON Japan 2024

 

ロボット関連3団体、2020年 新年賀詞交換会を開催

 日本ロボット工業会、製造科学技術センター、マイマロマシンセンターのロボット関連3団体は1月10日、東京都港区の東京プリンスホテルで「2020年 ロボット関連3団体新年賀詞交歓会」を開催した。

 当日は3団体を代表して橋本康彦・日本ロボット工業会会長(川崎重工業常務)が挨拶に立ち、「昨年は米中貿易摩擦の影響が実体経済に及び世界的な景気減速が見られ、また年末には英国のEU離脱(ブレグジット)が決定的となった。その一方で米中通商会議の第一弾が昨年末に合意され、世界経済の回復に期待感を抱かせた。このような状況の中、2019年のわが国のロボット産業は、需要の約7割を占める輸出で依然マイナスの状況が続き、受注額は対前年度比14%減の8240億円、生産額も約14%減の7800億円にとどまる見通しだ。本年2020年は7月に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることで景気面での一層の盛り上がりが期待される。世界的には貿易摩擦による景気減速やブレグジットに加え、年初から米国とイランの緊張が高まるなど中東地域でのリスク要因もあるが、ある程度の方向感が示されつつある。そうした中、自動化に対する潜在ニーズは大変強い。半導体関連の投資なども回復基調にあり、一度きっかけが得られれば、自動化に向けたロボット導入の投資が一気に加速することも考えられる。こうしたことから本年のロボット受注額は対前年度比6%増の8700億円、生産額も6%増の8300億円と、昨年からの回復を期待している」と述べた後、3団体の活動計画について報告した。

挨拶する橋本会長
挨拶する橋本会長

 

 日本ロボット工業会については、業界活性化のさらなる推進に向け、重要項目としてまず、ロボット革命イニシアティブ協議会との協力のもと、ロボット活用の裾野の拡大に向けたマッチング活動や、人材育成ならびに環境整備など、具体的な成果につながるよう、引き続き積極的に取組みを進めていく。2018年4月に同工業会にFA・ロボットシステムインテグレーター協会を設立し、業界ネットワークの構築、経営基盤や事業基盤の向上、システムインテグレーターに対する専門性の高度化に向けた、活動を積極的に展開しているが、本年は、ロボットシステムインテグレーションを行う上で必要な知識の習得レベル、技能の習熟レベルを図る「ロボットSI検定3級」を実施する予定だ。

 また、イノベーションの加速化に向けた、産学連携の推進だ。競争力をベースとしたグローバル市場での優位性の確保のもと、AIおよびソサエティ5.0を通じた潜在需要の顕在化を図るうえでも、イノベーションの加速化を通じた市場の獲得・拡大が急務となっているが、イノベーションの加速化を図るうえでも、引き続き日本ロボット学会はじめ関係学会、関係諸団体との連携を図っていく。

 さらに、国際標準化の推進、国際協力・協調の推進だ。国際標準については、欧米が市場獲得の手段として戦略的に取り組んでいるが、引き続きわが国においても官民あげての取組みが非常に重要となる。国際標準化活動に対してわが国はロボットのリーディングカントリーとして、引き続き積極的に取り組んでいくとともに、国際ロボット連盟の活動とも併せて、国際交流を積極的に推進していく。

 製造科学技術センターではロボット、ファクトリーオートメーション、ものづくりなどにおける製造科学技術の調査研究や標準化に取り組んでいる。また、ものづくり、事づくり、人づくりへと幅広く調査研究活動を積極的に行っている。

 まずロボット関連では、インフラ維持管理のロボット等の性能評価指標に基づき、その普及や改訂、福島ロボットテストフィールドを活用した、ロボット開発を目指した人材育成に関する事業も推進していく。

 ものづくりでは、人とロボットとの革新的な協力形態の実現により、複雑な産業機械製品の新たな生産手法の確立を図る調査研究を進める。標準化では、製品に関するデジタルデータの活用や製造ラインにおける省エネ・効率化のためのデジタル検証について取り組んでおり、その成果についてこれからのものづくりの基盤形成に着々と貢献しつつある。特に産業オートメーションシステム等に関する国際規格である、ISO TC184の国内審議団体として、スマートマニュファクチャリングシステムの推進にも取り組んでいる。わが国のものづくりの課題に応えるとともに、未来に向けた競争力の活力の創生に寄与するために活動を充実していく。

 わが国の電子産業においては政府が推進するコネクテッドインダストリーにおけるソサイエティ5.0の実現に不可欠な、IoTシステムの構築、ロボット、AIセンサーなどのキーデバイスとしてのMEMSの技術革新を目指した研究が活発化してきている。こうした状況のもと、マイクロマシンセンターでは、重要項目としてまず、MEMSのオープンイノベーションセンターであるマイクロナノ・オープンイノベーションセンター(MNOIC)のファンドリー事業について、関係業界からの強い期待が寄せられているため運営の拡充、強化に努めていく。

 また、業界として必要とされる研究シーズの検討を行い、医療やバイオ、エネルギー分野などを含め、幅広く将来の研究開発プロジェクトにつなげていく。

 さらに、国際標準化において国際電気標準会議(IEC)におけるMEMS分野の幹事団体として海外関係団体、企業との連携を強化することにより、MEMS分野の国際標準化に積極的に取り組んでいく。

 同センターは本年も、マイクロマシン・MEMS分野における産学官連携のセンターハブとなる活動を展開していく考えだ。